LEDとは

 

世界有数のLED先進地域「徳島」

 徳島県は、20世紀中の開発は困難と言われていた高輝度青色LEDを世界で初めて製品化し、LED生産量で世界トップレベルを誇るLED素子メーカーをはじめ、LEDを用いた様々な応用製品を開発するメーカーが県内外から150社以上集積する、世界有数の「LED先進地域」となっています。

LEDの特徴

 

 

  

 LED(エルイーディー)はLight Emitting Diodeの略。日本語では発光ダイオードと言います。電流を流すと発光する小さな半導体チップを樹脂で覆った光源です。小型、軽量、高い視認性、速い応答速度などの特徴を持つことに加えて、長寿命、低消費電力、水銀など有害物質を使用しないなど環境負荷の低減に有効なことから、21世紀の光源として注目されています。

 

LEDの波長領域ごとの分類等

 光は波長によって異なる特性を持っています。特定の波長の光を出すことができるLEDは、様々な用途に応用できる可能性を秘めています。普及が進む可視光LEDをはじめ、樹脂硬化や紙幣識別などには紫外光LEDが、リモコンや監視カメラ照明などには赤外光LEDが使われています。

 また、新たな市場と成長に向けて大きな可能性を持つ「次世代LED」として、プロジェクターや車載用ヘッドライトなど、急速に用途・市場が拡大するLD(半導体レーザー)をはじめ、現在、殺菌分野で実用化が進みつつある「深紫外光」や「精密な光のものさし」と言われる「赤外光コム」、物資透過の特性を持つ「テラヘルツ光」といった光源があります。

 これらの「次世代LED」は、それぞれが持つ特性により、医療や農業、食品、衛生、環境、通信、土木など多岐にわたる産業分野への応用展開が期待されています。

拡がる用途

1 身近になったLED照明

●LEDベースライン照明・LEDダウンライト

[徳島県庁 1階 県民ホール]

電球のソケットにそのまま装着できる「LED電球」の登場から数年、環境意識の高まりを背景に、LED照明は一般家庭へ急速に普及しました。高効率で安価な白色LEDの登場により、自転車のヘッドライトや携帯照明、テレビやスマホのバックライト、街路灯など、身の回りの様々な明かりにLEDが使われています。

 

2 高い視認性と豊かな表現力

●スタジアム用LEDオーロラビジョン

(824インチ)

[鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエットスタジアム]

 

街角やスタジアムなどの大型ディスプレイ、繁華街の広告塔やネオンサインなどにもLEDが使われています。視認性が高く、様々な色が出せること、応答速度が早く、軽量で面発光であることなどから大型化しやすく屋外での広告等の媒体として広く利用されています。徳島を本拠地とするJリーグサッカーチーム「徳島ヴォルティス」のホームスタジアム「ポカリスエットスタジアム」(鳴門市撫養町)にも、縦9.3×横18.7mの大型オーロラビジョン(高輝度LED方式)が導入されています。

 

3 暮らしを守るLED

●LED式信号機

 

 

白熱電球を使った従来の信号機は、内部に反射板を備え、色フィルターを使って発色していたため、西日などが差し込むと、内部で反射して点灯しているように見えてしまい、どの色の信号が点灯しているのかわからないという問題がありました。また、球切れを起こすと交通に大変な支障を生じることから、定期的な交換作業も必要でした。LEDを使った信号機は消灯時には発色せず、点灯時のみ鮮やかに発色する視認性の高さと省電力性、LED自身が発光するため構造も簡単で薄く軽量にでき、地震や風雨災害にも強く寿命も長いことから普及が進んでいます。徳島県では1994年に全国に先駆けてLED信号機を設置し、県下の主要路線のすべてでLED信号機が使われるなど、LED信号機の整備率は全国トップクラスとなっています。

 

 

4 自動車への応用

●LEDを利用した自動車用ランプ

今後大きく成長するLED製品の市場として自動車、バイク等への利用があります。電動化やセンサ・ネットワーク接続など新たなモビリティの進化に伴い、消費電力の少ないLEDは内装やメーター周りの照明、ブレーキランプなど欠かせないものとなっています。また、自動運転に必要とされる対象物との距離を測るセンサーやヘッドライトにも次世代LEDであるレーザーダイオード(LD:半導体レーザー)が使われています。

 

5 街を彩るLED

●LEDアートフェスティバル2010作品

LEDは鮮やかで様々な色を出すことができ、消費電力が少なく、耐久性に優れていることなどから、クリスマスシーズンなどによく見かけるイルミネーションや観光施設の夜間ライトアップにも利用されています。徳島市では、LEDとアートを融合させる芸術祭「徳島LEDアートフェスティバル」や新町川にかかる橋をLEDで彩った夜間ライトアップを行っています。作品を出展するアーティストや市民、学生の方々等が一体となって、徳島の自然と調和したLEDの魅力を発信しています。

 

6 農林水産分野の豊な未来へ

特定の波長を出すことができるLEDの性質を利用して、農産物の栽培や鮮度保持にもLEDの光が使われ始めています。徳島県では、LED照明が農産物の生育や栄養素、病害虫や周辺環境に及ぼす影響などについて、生産者と大学や公設試験研究機関が連携して研究と成果の普及を進めています。また水産分野でも、長寿命というLEDの特徴を活かした集魚灯や次世代LEDである深紫外LEDを使った殺菌などに利用されています。

●リーフレタスの栽培

[徳島大学]

●タチウオ漁に活用されるLED集魚灯

[徳島県南部]

 

7 災害に強い街づくりに

●独立型LED防災・防犯灯

[宮城県気仙沼市大島に県内企業が提供]

最近、LED照明に太陽光発電と蓄電池を組み合わせた独立型防災・防犯灯が製品化されています。消費電力の少ないLED照明の特長を生かし、災害時などに電気の供給が止まった場合でも、太陽光で発電しバッテリーに蓄えた電気を使って、夜間にLED照明を安定して灯すことができ、人々の安全と安心を担います。東日本大震災では、平成23年4月、未だ電気の復旧していなかった被災地の宮城県気仙沼市大島に、徳島県のLED関連企業からLEDの灯りが届けられました。